住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行されました。
また、国税庁は6月13日、「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)により生じる所得の課税関係等について(情報)」を公表しました。これには、民泊により生じる所得区分や必要経費の具体例などがFAQ方式でまとめられています。
そこで、上記FAQのポイントを、以下で簡略的に解説致します。
今回公表された情報(FAQ)では、いわゆる民泊新法に基づく民泊で得た所得は、民泊の性質や事業規模・期間などを踏まえ、原則「雑所得」に該当することを示しています。
民泊では、不動産の貸付け以外の役務提供も含まれるため、その所得は「不動産所得」に該当せず、宿泊日数の制限もあることから、「事業所得」に該当する可能性も低いようです。
ただし、不動産賃貸業を営んでいる者が、一時的に民泊を行った場合等の所得は、「不動産所得」に含めて差し支えないとしているほか、民泊による所得で生計を立てている場合等では、「事業所得」に該当するとしています。
なお、同FAQでは、“民泊新法”に基づく民泊で得た所得の所得区分のみ示されていますが、“旅館業法”や“民泊条例”に基づく民泊で得た所得も「雑所得」に該当することが原則となります。
民泊による所得金額の計算上、必要経費に算入できる費用の具体例も示しています。
・住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料 ・水道光熱費 ・通信費 ・宿泊者用の日用品等購入費 ・民泊に利用している家屋の減価償却費etc. |
この点、必要経費に算入できる費用は、民泊に関する部分(業務用部分)に限られます。
(例)水道光熱費や減価償却費については、合理的な方法で按分して計算(民泊利用部分の床面積の総床面積に占める割合や民泊を行った日数等を基に計算)
住宅ローンで新築した家屋を利用して民泊を行う場合、その家屋の床面積の2分の1以上が生活用部分であるなどすれば、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」の適用が受けられるとしています。
民泊として利用していた家屋を譲渡する場合における「居住用財産の3,000万円の特別控除」の適用については、①現に居住の用に供している家屋を譲渡するか、②居住の用に供さなくなった家屋を、居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する場合には、同特例が適用できる旨も示されています。
消費税について、民泊新法に基づく民泊により、宿泊者から受領する宿泊料は、ホテルや旅館などと同様に、消費税の課税対象になるとしています。
また、民泊を行う者が、ウェブサイト上に民泊に提供する物件を掲載するため、その運営事業者に掲載料を支払っている場合、支払先が国内事業者か国外事業者かにより、異なる取扱いとなる旨の注意喚起も行っています。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。
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