「設備投資で固定資産税が最大5年間1/4に?」 先端設備等導入計画を活用しよう 税のお役立ち情報

機械装置や器具備品などの設備投資を検討している中小企業者にとって、「先端設備等導入計画」は確認しておきたい制度です。

先端設備等導入計画は、中小企業が設備投資を通じて労働生産性の向上を実現するための計画です。

この計画について、市区町村から認定を受け、一定の要件を満たした場合には、固定資産税の軽減措置を受けることができます。

特に、賃上げ方針を従業員に表明したことを計画に位置づけることで、固定資産税の課税標準が軽減されます。

ただし、先端設備等については、先端設備等導入計画の認定後に取得することが必須です。設備取得と手続きの順番を間違えないことが大切です。

記事のポイント

先端設備等導入計画は、中小企業者が設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。

計画期間において、労働生産性年平均3%以上向上することが見込まれることが要件とされています。

この計画は、設備の導入先となる市区町村が導入促進基本計画を策定している場合に、当該市区町村から認定を受けることができます。認定を受けた場合には、税制支援や金融支援などの支援措置を活用することができます。

固定資産税の特例については、雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる賃上げ方針を従業員に表明したことを計画に位置づけることで、課税標準が3年間、1/2に軽減されます。さらに、雇用者給与等支給額を3%以上増加させる賃上げ方針を従業員に表明したことを計画に位置づけることで、課税標準が5年間、1/4に軽減されます。

対象となる中小企業者

計画認定の対象となる中小企業者は、業種ごとに資本金の額または出資の総額、常時使用する従業員の数によって定められています。

業種分類資本金の額または出資の総額常時使用する従業員の数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業5千万円以下100人以下
ゴム製品製造業※3億円以下900人以下
ソフトウエア業または情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5千万円以下200人以下

※自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く

なお、税制支援については、対象となる規模要件が異なりますので注意が必要です。

先端設備等導入計画の主な要件

先端設備等導入計画は、中小企業者が、計画期間内に労働生産性を一定程度向上させるため、先端設備等を導入する計画です。新たに導入する設備が所在する市区町村における導入促進基本計画等に合致する場合に、認定を受けることができます。

主な要件は、次のとおりです。

主な要件内容
計画期間3年間、4年間または5年間
労働生産性計画期間において、基準年度(直近の事業年度末)比で労働生産性が年平均3%以上向上すること
先端設備等の種類労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される設備
計画内容基本方針及び導入促進基本計画に適合すること、先端設備等の導入が円滑かつ確実に実施されると見込まれること、認定経営革新等支援機関において事前確認を行った計画であること

労働生産性は、次の算定式で計算します。

労働生産性 = (営業利益+人件費+減価償却費) ÷ 労働投入量

労働投入量は、労働者数または労働者数×1人当たり年間就業時間です。

対象となる先端設備等の種類

先端設備等導入計画の対象となる設備は、労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される設備です。減価償却資産の種類として、次のものが示されています。

減価償却資産の種類
機械装置
測定工具及び検査工具
器具備品
建物附属設備
ソフトウエア

ただし、市区町村によって、対象設備及び地域等が異なる場合があります。

認定までの流れ

先端設備等導入計画の認定フローは、次のとおりです。

ステップ内容
 ①中小企業者が認定経営革新等支援機関へ事前確認を依頼
認定経営革新等支援機関が事前確認書を発行
中小企業者が市区町村へ計画を申請
市区町村が計画を認定
設備取得
令和7年4月 中小企業庁資料より

*認定経営革新等支援機関の例として、商工会議所、商工会、中央会、地域金融機関、士業等の専門家などが挙げられています。

固定資産税の特例

”先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業者のうち、一定の要件を満たした場合”、地方税法において固定資産税の特例を受けることができます。

対象者は、資本金1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人事業主等のうち、先端設備等導入計画の認定を受けた者です。ただし、大企業の子会社等は除かれます。

対象設備は、雇用者給与等支給額を1.5%以上、または3%以上増加させる賃上げ方針を従業員に表明したことを位置づけた先端設備等導入計画に従い取得する設備です。また、認定経営革新等支援機関の確認を受けた投資利益率5%以上の投資計画に記載された設備である必要があります。

対象設備と最低取得価格は、次のとおりです。

設備の種類最低取得価格
機械装置160万円以上
測定工具及び検査工具30万円以上
器具備品30万円以上
建物附属設備※60万円以上

※家屋と一体となって効用を果たすものを除く

その他の要件として、生産、販売活動等の用に直接供されるものであること、中古資産でないことが必要です。

固定資産税の軽減内容

固定資産税の特例措置は、賃上げ方針の内容によって異なります。

賃上げ方針特例措置
雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる賃上げ方針を表明3年間、課税標準を1/2に軽減
雇用者給与等支給額を3%以上増加させる賃上げ方針を表明5年間、課税標準を1/4に軽減

この特例は、令和9年3月31日までに取得した設備が対象です。なお、対象設備は市町村によって異なる場合があります。

投資利益率の確認

固定資産税の特例を受けるためには、認定経営革新等支援機関による確認が必要です。確認内容は、年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれるかどうかです。

年平均の投資利益率は、次の算定式で確認されます。

年平均の投資利益率 = (営業利益+減価償却費)の増加額 ÷ 設備投資額

ここでいう「営業利益+減価償却費」の増加額は、設備の取得等をする翌年度以降3年度の平均額です。設備投資額は、設備の取得等をする年度における、その取得等をする設備の取得価額の合計額です。

また、認定経営革新等支援機関は、先端設備等導入計画に記載された直接当該事業の用に供する設備の導入によって、労働生産性が年平均3%以上向上することが見込まれるかについても確認します。

賃上げ方針の表明

固定資産税の特例を適用するためには、賃上げ方針の表明を計画に位置づける必要があります。

中小事業者等は、賃上げ方針を策定して従業員へ表明します。なお、表明先の従業員は、従業員の代表者のみでも可とされています

市区町村へ申請する際には、賃上げ方針を策定して従業員へ表明した旨を認定申請書に記載し、従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面を添付します。

雇用者給与等支給額の増加率は、次の算式で計算します。

増加率 = (【A】-【B】) ÷ 【B】

  • 【A】計画認定の申請日の属する事業年度(令和7年4月1日以後に開始する事業年度に限る)または当該申請日の属する事業年度の翌事業年度における雇用者給与等支給額
  • 【B】当該申請日の属する事業年度の直前の事業年度における雇用者給与等支給額

雇用者給与等支給額とは、適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与)の支給額のことです。

設備取得のタイミングに注意

先端設備等については、先端設備等導入計画の認定後に取得することが必須です。

設備取得と計画認定の流れは、次の順番です。

順番内容
1従業員への賃上げ方針の表明
2認定経営革新等支援機関へ確認を依頼
3認定経営革新等支援機関から確認書を取得
4先端設備等導入計画の申請
5先端設備等導入計画の認定
6設備取得
7賦課期日(1月1日)
8税務申告

また、市区町村に先端設備等導入計画を申請する際は、認定経営革新等支援機関から発行される投資計画に関する確認書も同時に提出する必要があります。変更申請により設備を追加する場合も同様です。

なお、税制の適用を受けない場合は、先端設備等導入計画に関する確認のみとされています。

実務上の留意点

① 設備は計画認定後に取得する 先端設備等については、先端設備等導入計画の認定後に取得することが必須です。認定前に設備を取得しないよう、手続きの順番を確認する必要があります。

② 投資計画に関する確認書を同時に提出する 市区町村に先端設備等導入計画を申請する際は、認定経営革新等支援機関から発行される投資計画に関する確認書も同時に提出する必要があります。変更申請により設備を追加する場合も同様です。

③ 市区町村によって対象設備等が異なる場合がある 先端設備等の対象設備及び地域等は、市区町村によって異なる場合があります。また、固定資産税の特例における対象設備も、市町村によって異なる場合があります。

④ 計画認定と税制支援では規模要件が異なる 先端設備等導入計画の認定対象となる中小企業者と、固定資産税の特例の対象者では、規模要件が異なります。税制支援については、資本金1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人事業主等のうち、先端設備等導入計画の認定を受けた者が対象です。ただし、大企業の子会社等は除かれます。

まとめ

先端設備等導入計画は、中小企業者が設備投資を通じて労働生産性の向上を実現するための計画です。市区町村から認定を受け、一定の要件を満たすことで、固定資産税の軽減措置を受けることができます。

賃上げ方針を従業員に表明したことを計画に位置づけることで、雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる場合には3年間、課税標準が1/2に軽減されます。また、3%以上増加させる場合には5年間、課税標準が1/4に軽減されます。

ただし、設備は必ず先端設備等導入計画の認定後に取得する必要があります。設備投資を検討する際は、対象設備、賃上げ方針、投資利益率、申請手続き、設備取得のタイミングを事前に確認することが大切です。

参照:経済産業省・中小企業庁「【中小企業等経営強化法】先端設備等導入計画について」令和7年4月