【消費税10%】有料老人ホーム等の食事は、外食等として軽減税率の対象外? 税のお役立ち情報

 

 

結論

有料老人ホームや小中学校などで提供される一定の食事(給食等)は、ケータリングサービス等には当たらず飲食料品の譲渡として、軽減税率の対象となります。

ただ、この場合の軽減税率の対象は、入居者や児童・生徒に対して行う飲食料品の提供に限られ、職員等に対するものは含まれないようです(軽減税率Q&A〔個〕問64、69)

 

解説

軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」には、いわゆる「ケータリング、出張料理」(相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供)は含まれないこととされています(平28改正法附則34①一ロ、軽減通達12)。

有料老人ホームや小中学校など一定の施設で提供される食事については、これらの施設で日常生活や学校生活を営む者(入居者等)の求めに応じて、その施設の設置者等が調理等をして提供するものであることから、基本的には軽減税率の対象とならないケータリングサービス等に該当します。

しかし、これらの施設で提供される食事は、その都度入居者らの選択によるものではない状況であることなどから、例外として、ケータリングサービス等には該当しない飲食料品の譲渡とされています。

有料老人ホーム等の入居者や小中学校等の児童・生徒と、これらの施設の職員等が同じメニューの食事をとるケースもあります。

しかし、職員等に提供される食事は、その施設内において飲食料品を飲食させる役務の提供を行うものとして、軽減税率の適用対象外とないます。

このため、入居者等に提供する食事と職員等に提供する食事は分けて消費税の計算をする必要があるので、注意が必要です。

 

参考

消費税の軽減税率制度に関するQ&A (個別事例編) (平成 30 年 11 月改訂)

問 65(家事代行)

 当社は、お客様の自宅に伺って料理代行サービス(食材持込)を行っておりますが、 このサービスは、軽減税率の適用対象となりますか。

【答】

軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」には、「相手方が指定した場所において行 う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」(いわゆる「ケータリング、出張料 理」)は含まれないこととされています(改正法附則 34①一ロ、軽減通達 12)。

ご質問のように、顧客の自宅で料理を行い、飲食料品を提供するサービスは、いわゆる「ケ ータリング、出張料理」に該当しますので、軽減税率の適用対象となりません。

 

問 69(有料老人ホームの飲食料品の提供)

当社は、有料老人ホームを運営しています。提供する食事は全て税抜価格で、朝食 500 円、昼食 550 円、夕食 640 円で、昼食と夕食の間の 15 時に 500 円の間食を提供していま す。 これらの食事は、軽減税率の適用対象となりますか。

【答】

 軽減税率の適用対象となる有料老人ホームにおいて行う飲食料品の提供とは、老人福祉 法第29条第1項の規定による届出が行われている有料老人ホームにおいて、当該有料老人 ホームの設置者又は運営者が、当該有料老人ホームの一定の入居者に対して行う飲食料品の提供をいいます(改正法附則34①一ロ、改正令附則3②一)。

また、軽減税率の適用対象となるサービス付き高齢者向け住宅において行う飲食料品の提供とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」第6条第1項に規定する登録を受けたサービス付き高齢者向け住宅において、当該サービス付き高齢者向け住宅の設置者又は運営者が、当該サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して行う飲食料品の提供をいいます(改正令附則3②二)。

これらの場合において、有料老人ホーム等の設置者又は運営者が、同一の日に同一の者に 対して行う飲食料品の提供の対価の額(税抜き)が一食につき640円以下であるもののうち、 その累計額が1,920円に達するまでの飲食料品の提供であることとされています。

ただし、設置者等が同一の日に同一の入居者等に対して行う飲食料品の提供のうち、その 累計額の計算の対象となる飲食料品の提供(640円以下のものに限る。)をあらかじめ書面 により明らかにしている場合には、その対象飲食料品の提供の対価の額によりその累計額を計算するものとされています(平成28年財務省告示第100号)。

ご質問の飲食料品の提供について、あらかじめ書面により、その累計額の計算の対象となる飲食料品の提供を明らかにしていない場合は以下のとおりとなります。

朝食(軽減)昼食(軽減)間食(軽減)夕食(標準)合計(内軽減税率対象)
500円≦640円550円≦640円500円≦640円640円≦640円= 2,190円(1,550円)
(累計 500 円)(累計1,050 円)(累計1,550 円)(累計2,190 円) 

 

夕食は、一食につき 640 円以下ですが、朝食から夕食までの対価の額の累計額が 1,920 円 を超えていますので、夕食については、軽減税率の適用対象となりません。 なお、あらかじめ書面において、累計額の計算の対象となる飲食料品の提供を、朝食、昼 食、夕食としていた場合は以下のとおりとなります。

 

朝食(軽減)昼食(軽減)間食(標準)夕食(軽減)合計(内軽減税率対象)
500円≦640円550円≦640円500円≦640円640円≦640円= 2,190円(1,690円)
(累計 500 円)(累計1,050 円)累計対象外(累計1,690 円) 

 

(追記!)2019.6.26更新

 

『【飲食料品取扱い業者向け】消費税軽減税率の徹底総解説!』のページを作成しております。

飲食料品に絡む軽減税率に係る取扱いを、総合的にまとめていますので、事業をされている方も、そうでない方も、確認用にご利用いただければと思います。