リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等 税のお役立ち情報

平成26年6月30日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から実務対応報告第31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)が公表されました。

また、本実務対応報告において契約変更時の借手の会計上の取扱いについて別途定めることとしていたことから、本実務対応報告の公表後に、契約変更時の借手の会計上の取扱いがASBJにおいて検討され、平成27年3月11日に改正実務対応報告第31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」が公表されました。

 

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)に基づき実施する施策として、新たなスキームによるリース取引が導入されました。これを受けて、ASBJにおいて、本リース・スキームによるリース取引について、これまで公表されているリース取引の借手における会計処理を整理するとともに、必要と考えられる借手における会計処理等を明らかにすることを目的として、本リース・スキームに係る借手の会計処理及び開示の審議を行い、今般、実務対応報告の公表が承認されたため、公表されたものです。

 

本実務対応報告の概要

以下の概要は、本実務対応報告の主な内容を要約したものです。 „

 

範囲

本実務対応報告は、本リース・スキームにおける借手の会計処理及び開示等を対象とする。

 

会計処理

① ファイナンス・リース取引の判定基準

  1. 本リース・スキームにおいては、リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかについては、他のリース取引と同様に、企業会計基準適用指針第 16 号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下「リース適用指針」という。) 第 5 項の要件に基づいて判定すべきであり、具体的な判定は、リース適用指針第 9 項に従う。
  2. 再リースに係るリース期間又はリース料を解約不能のリース期間又はリース料総額に含めるかどうかについては、その他のリース取引と同様に、リース適用指針第 11 項及び第 12 項に従う。
  3. 本リース・スキームにおいて、リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行う。これ以外の場合、当該判定をリース期間中に再度行うことは要しない。

② 変動リース料

本リース・スキームに係る変動リース料については、リース取引開始日において、借手により示されている合理的な想定稼働量を基礎とした金額により、企業会計基準第 13 号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)及びリース適用指針に定めるリース料総額に含めて取扱い、次のような場合に考慮されることとなる。

  1. ファイナンス・リース取引の判定
  2. ファイナンス・リース取引と判定された場合の、リース資産及びリース債務として計上する価額の算定

③その他の事項

本実務対応報告に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って会計処理する。 „

 

開示

① 変動型又はハイブリッド型のオペレーティング・リース取引に係る注記

変動型又はハイブリッド型の本リース・スキームについてオペレーティング・リース取引と判定された場合、リース会計基準第 22 項に定める解約不能のものに係る未経過リ ース料の注記に、貸借対照表日における借手による合理的な見積額に基づく変動リース料の未経過分を含める。

② その他の事項

本実務対応報告に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って開示する。 

 

会計処理(改正部分)

①本リース・スキームにおけるリース契約の変更の取扱い

(1) ファイナンス・リース取引かどうかの再判定

リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合のファイナン ス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定にあたっては、契約変更日に、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日に遡って判定を行う。 当該判定を行うにあたって、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定のために用いる割引率は、借手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算利子率を知り得るときは当該利率とし、知り得ないときは契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における借手の追加借入に適用されていたであろうと合理的に見積られる利率とする。

(2) オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引への変更

リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された結果、オペレーティン グ・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引については、契約変更日より通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。 契約変更日にリース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は、原則としてαのとおりとする。ただし、当該リース資産及びリース債務の価額をβのとおりとすることもできる。

α.リース資産及びリース債務をそれぞれ以下のとおり算定された価額で計上し、 リース資産とリース債務との差額は損益として処理する。

ア. リース資産

契約変更後の条件に基づくリース取引開始日からの将来のリース料 (残価保証がある場合は、残価保証額を含む。)を「(1)ファイナンス・ リース取引かどうかの再判定」において借手が現在価値基準を適用する場合に用いた割引率で割り引いた現在価値とリース取引開始日における借手の見積現金購入価額とのいずれか低い額から、リース取引開始日から契約変更日までの減価償却累計額相当額を控除した価額による。

イ. リース債務

契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む。)を、「(1)ファイナンス・リース取 引かどうかの再判定」において借手が現在価値基準を適用する場合に用いた割引率で割り引いた現在価値による。

β. リース資産及びリース債務をαに従って算定されたリース債務の価額にて同額で計上する。

② その他のリース取引に係る現行の取扱いへの影響

上記の本リース・スキームにおけるリース契約の変更の取扱いは、本リース・スキ ームによるリース取引にのみ適用されるものであり、その他のリース取引に係る現行の取扱いに影響を与えるものではない。

 

適用時期

本実務対応報告は、公表日以後適用する。 

 

※なお、本稿は本実務対応報告の概要を記述したものです。詳細については本文をご参照ください。

企業会計基準委員会ウェブサイトへ

実務対応報告第31号
「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」の公表

改正実務対応報告第31号
「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」の公表

金融庁ウェブサイトへ

※「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業事務取扱要領」についてはこちらをご参照ください。

一般社団法人 低炭素投資促進機構ウェブサイト

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肥田木公認会計士・税理士事務所

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