【仮想通貨と税】仮想通貨の確定申告が簡単になります! 税のお役立ち情報

 

国税庁は11月21日、『仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)』を公表しました。

その中で、仮想通貨交換業者から来年1月末を目安に交付される予定の「年間取引報告書」で簡便な所得計算が行えることが示されています。

また、「年間取引報告書」の記載内容を入力することで自動的に所得金額が計算できる『仮想通貨の計算書(Excel)』も、国税庁ホームページで公表されています。

『仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)』の内容で、仮想通貨の確定申告の簡便化について関係ありそうな部分を抜き出して、下記で紹介します。

 

9 年間取引報告書を活用した仮想通貨の所得金額の計算

Q 仮想通貨交換業者A・Bから、次の年間取引報告書が送付されました。この年間取引報告書を活用した仮想通貨の所得金額の計算方法を教えてください。


 年間取引報告書の太枠の赤字部分及び青字部分を、国税庁ホームページに掲載している「仮想通貨の計算書(総平均法用)」に入力すれば、簡便に所得金額を計算することができます。

上記の場合の仮想通貨の所得金額は、332,000円となります。

仮想通貨の計算書(総平均法用)の計算例は下図をご参照ください。

【関係法令等】

【入力例】

 

10 年間取引報告書の記載内容

Q 仮想通貨交換業者から年間取引報告書が送付されましたが、この年間取引報告書には、何が記載されているのですか。

 

 年間取引報告書の各欄には、次の事項が記載されています

①年始数量 :その年の1月1日現在の仮想通貨の保有数量

②年中購入数量:その年の仮想通貨の購入数量

③年中購入金額:その年の仮想通貨の購入金額

④年中売却数量:その年の仮想通貨の売却数量

⑤年中売却金額:その年の仮想通貨の売却金額

⑥移入数量:その年に購入以外で口座に受け入れた仮想通貨の数量

⑦移出数量:その年に売却以外で口座から払い出した仮想通貨の数量

⑧年末数量:その年の12月31日現在の仮想通貨の保有数量

⑨損益合計:その年の仮想通貨の証拠金取引の損益の合計額

⑩支払手数料:その年に仮想通貨交換業者に支払った支払手数料の額

※仮想通貨の売却・購入などを外貨で行った場合には、取引時の電信売買相場の仲値(TTM)で円に換算した金額に基づき、各事項が記載されています。


なお、次の取引をした場合における各欄の表示内容は、次のとおりです。

①仮想通貨交換業者から無償で仮想通貨の交付を受けた場合

 「年中売却数量」:-

 「年中売却金額」:交付を受けた仮想通貨の価額(時価)

 「年中購入数量」:交付を受けた仮想通貨の数量

 「年中購入金額」:交付を受けた仮想通貨の価額(時価)

②仮想通貨で決済を行った場合

・仮想通貨交換業者で円転して決済を行った場合

 「年中売却数量」:円転した仮想通貨の数量

 「年中売却価額」:円転した仮想通貨の価額(時価)

・仮想通貨そのもので決済を行った場合

 「移出数量」:決済で使用した仮想通貨の数量

③仮想通貨交換業者でA仮想通貨とB仮想通貨を交換した場合

 A仮想通貨の「年中売却数量」:交換したA仮想通貨の数量

 A仮想通貨の「年中売却金額」:取得したB仮想通貨の価額(時価)

 B仮想通貨の「年中購入数量」:取得したB仮想通貨の数量

 B仮想通貨の「年中購入金額」:取得したB仮想通貨の価額(時価)

年間取引報告書の様式例は、次ページに掲載しています(仮想通貨交換業者により、様式が異なる場合があります。)。

【関係法令等】

(参考)年間取引報告書の様式例

 

11 仮想通貨の取得価額の計算方法の変更

Q 昨年の申告では、売却した仮想通貨の取得価額を移動平均法で計算していましたが、計算が困難なため、本年の申告から総平均法に変更することはできますか。


 今後の申告において「総平均法」を継続することを前提に、売却した仮想通貨の取得価額の計算方法を変更することができます。

売却した仮想通貨の取得価額は、「移動平均法」で計算するのが相当ですが、継続して適用することを要件に「総平均法」で計算しても差し支えないこととしています。

したがって、売却した仮想通貨の取得価額を「移動平均法」で計算している方は、「総平均法」に変更することができます。

なお、ご質問のように、「移動平均法」から「総平均法」に変更する場合は、本年の売却した仮想通貨の取得価額の計算における「年始の仮想通貨の数量・取得価額」は、「移動平均法で計算した前年末の仮想通貨の数量・取得価額」を使用することになります。

【関係法令等】

12 仮想通貨の購入価額や売却価額が分からない場合

Q 本年中に仮想通貨取引を行いましたが、取引履歴を残していないため、仮想通貨の購入価額や売却価額が分かりません。これらの価額を確認する方法はありますか。


 次の区分に応じて仮想通貨取引の購入価額や売却価額を確認することができます。

① 国内の仮想通貨交換業者を通じた仮想通貨取引

平成30年1月1日以後の仮想通貨取引については、国税庁から仮想通貨交換業者に対して、次の事項などを記載した「年間取引報告書」の交付をお願いしています。

・年中購入数量:その年の仮想通貨の購入数量

・年中購入金額:その年の仮想通貨の購入金額

・年中売却数量:その年の仮想通貨の売却数量

・年中売却金額:その年の仮想通貨の売却金額

お手元に年間取引報告書がない場合は、仮想通貨交換業者に年間取引報告書の(再)交付を依頼してください。

(注)平成29年以前は、年間取引報告書が交付されない場合があります。その場合は下記②により、ご自身で仮想通貨の購入価額や売却価額を確認してください。

 

②上記①以外の仮想通貨取引(国外の仮想通貨交換業者・個人間取引)

個々の仮想通貨の購入価額や売却価額について、例えば次の方法で確認してください。

仮想通貨を購入した際に利用した銀行口座の出金状況や、仮想通貨を売却した際に利用した銀行口座の入金状況から、仮想通貨の購入価額や売却価額を確認する。

仮想通貨取引の履歴及び仮想通貨交換業者が公表する取引相場(注)を利用して、仮想通貨の購入価額や売却価額を確認する。

(注)個人間取引の場合は、あなたが主として利用する仮想通貨交換業者の取引相場を利用してください。確定申告書を提出した後に、正しい金額が判明した場合には、確定申告の内容の訂正(修正申告又は更正の請求)を行ってください。

【関係法令等】

 

最後に

「仮想通貨の確定申告が簡単になります!」の記事をお読みいただき、ありがとうございました。

平成29年の確定申告の時は、お付き合いのある税理士先生はいるにもかかわらず、その先生に仮想通貨のことはさっぱり分からないと匙を投げられ、途方にくれた方々に多く会い、その度に相談に乗らせていただきました。

今年の確定申告からは、ここまで仮想通貨の確定申告は簡単になるので、前述のような無責任な税理士が減ることを期待します。

 

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