【事業承継と税】分かりにくい新事業承継税制についてポイント解説 税のお役立ち情報

 

30年4月1日から、事業承継税制の特例(特例措置)の適用に必要な特例承継計画の受付が全国の都道府県庁で始まりました。

新事業承継税制も、いまいち分かりにくいところがあり、専門家もハッキリ理解できていない箇所も多いようです。そこで、本特例措置に関する種々の問合わせについて、「税務通信」から中小企業庁の担当官にいくつか確認が行われており、気になったポイントだけ簡単に紹介します。

 

◆特例承継計画を提出できる期間

30年4月1日から35年3月31日までに限り計画を提出可。(会社の株式を贈与等した後でも計画を作成し提出することも可能。遅くとも当該贈与等に係る経営承継円滑化法の認定申請までには提出)

 

◆計画通りに事業承継がされない場合の罰則について

計画内容を実行できなかったことについて何か罰則などは無し。事業承継の可能性が少しでもある場合は、35年3月31日までに計画提出を。

 

◆受贈者である後継者の変更があった場合

計画に記載した特例措置の適用を受ける後継者を変更・追加する場合には,必ず計画を変更し都道府県庁でその確認を受ける。

 

◆特例措置の適用を受ける後継者の変更はいつまで認められるか

後継者が特例措置の適用を受けた後は、その後継者を変更することはできない。ただ、まだ株の贈与等を受けていない後継者については変更することができる。

 

◆特例措置の適用を受けるに当たっての手続き

特例措置の適用を受けるには、株の贈与・相続・遺贈(贈与等)を受ける後継者等を記載した「特例承継計画」を都道府県庁に提出し、さらに経営承継円滑化法の認定を受けるための「認定申請書」も提出することが必要。

「認定申請書」については、贈与者等・受贈者等の組合わせごとに提出が必要。(例:先代経営者が株を後継者Aに贈与した後に、その配偶者から後継者Aに追加で株の贈与をする場合、先代経営者から後継者Aの贈与の認定を受けていても、その配偶者から後継者Aの贈与について認定を受けるための認定申請書を提出することが必要)

なお,「特例承継計画」については,先代経営者から後継者への株の贈与について特例承継計画を提出すればよく、その後配偶者から株の贈与を受ける際に特例承継計画を再度提出することは不要。

◆先代経営者以外からの贈与はいつまでに行う必要があるか

先代経営者以外の配偶者等からの贈与は、先代経営者からの贈与等の日以後、贈与等に係る申告期限から5年に贈与税等の申告期限が到来するものが対象

 

◆先代経営者からの贈与等の前に行った他の株主からの贈与等について

先代経営者が後継者に株を贈与する前に、その配偶者の相続が生じた場合等、先代経営者からの贈与等の前に行った他の株主からの贈与等については、特例措置は適用できない。

 

◆過去に一般措置を適用した後継者は特例措置を受けられるかについて

後継者が過去に先代経営者から株の贈与を受け、従来からある事業承継税制の一般措置の適用を受け、先代経営者以外の株主が保有している株の贈与を受ける場合、後継者は既に一般措置の適用を受けているため、特例措置を受けることはできない。なお、先代経営者からの贈与について受けた認定の有効期間内に申告期限が到来する贈与等であれば、一般措置を適用することは可能。

 

◆先代経営者から後継者が株式を譲渡で取得しても適用対象となるかについて

先代経営者から後継者が株式を贈与ではなく著しく低い金額の譲渡で取得し、時価との差額に対していわゆるみなし贈与による贈与税が生じる場合は、特例措置を適用することはできない。

 

◆代表権が複数あっても特例措置を適用できるかについて

先代経営者のほかに創業時から支えてもらっているいわゆる“番頭さん”も会社の代表権を有している場合、先代経営者、及び後継者以外に代表権を有する者がいるようなケースについては、先代経営者や後継者以外に代表権を有している者がいる場合でも、後継者は特例措置を適用することができる。
 

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