通称専務や愛称専務も使用人兼務役員にはなれないのか? 税のお役立ち情報

 

法人の役員のうち、副社長、専務、常務等の役員については、たとえ使用人としてのポジションもあって、かつ、常時使用人としての職務に従事している場合でも、税務上は使用人兼務役員としては認められません。そのため、副社長、専務、常務等に支給した給与については、通常の役員同様の制限が設けられています(令第71条第1項第2号)。

副社長、専務、常務等が使用人兼務役員として認められないのは、これらの役員は、対外的にはいわゆる「表見代表者」として代表権を有する役員とみなされることが多いことからとのことです。

ただ問題は、ここでいう「副社長」、「専務」、「常務」といった地位が、必ずしも会社法その他の法令上制度化されたものではないということです。

そのため、会社によっては、単なる通称として「副社長」、「専務」、「常務」の呼称が付けている場合も少なくありません。

副社長、専務、常務等については、単なる通称又は自称によるものも含めることになるのか、それとも法人の定款等において職制上明確にされている場合に限るのかという点については、単なる通称又は自称の副社長、専務、常務等についてまで役員給与の損金算入の制限の取扱いに服せしめるというのは、必ずしも合理的とはいえないし、法令の趣旨もそのようなものではないと考えられます。

そこで、法人税法基本通達9―2―4において、ここでいう副社長、専務、常務とは、法人の内部組織上明確にその地位が付与されている者、すなわち定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等によりその職制上の地位が付与された役員をいうことを明らかにしています。

これにより、いわゆる自称副社長、自称専務、通称常務のごとく、職制上は取締役であってその実質は使用人兼務役員として認められてしかるべき者については、その実質に則して取扱われます

 

(職制上の地位を有する役員の意義)

基通9―2―4 令第71条第1項第2号⦅使用人兼務役員とされない役員⦆に掲げる「副社長,専務,常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員」とは,定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等によりその職制上の地位が付与された役員をいう。