最近、仮想通貨のマイニング事業に参入する国内企業が増えてきています。
マイニングにはPCとグラフィックボードが必要となりますが、その取得価額が少額減価償却資産に該当するか否かについて、税務通信で取り上げられていたので、概要を紹介します。
仮想通貨のマイニング(採掘)の膨大な計算を行うには、PCとグラフィックボードが必要とされています。事業としてマイニングを行う場合、一般的には、数枚のグラフィックボードを組み合わせたPCを数百台用意するとのことです。
それでは、グラフィックボードの1枚の価額と、PCの1台の価額が10万円未満でしたら、少額資産として一括損金にできるのか否かが気になると思います。
税務通信では、法人税法の取扱いを鑑みるに、
「マイニング事業を行うためにPCとグラフィックボードを取得する場合も,グラフィックボード単体では機能を発揮することができないため,一の取引ごとにその取得価額を算出して判定することとなる。」
と、記述しており、一括損金は難しいようです。
(例)
・1枚当たり1.5万円のグラフィックボードを1,000枚、1台当たり6万円のPCを500台それぞれ購入
・取得価額:1.5万円×1,000+6万円×500=4,500万
1枚又は1台当たりの金額は10万円未満だが、一の取引でみると少額減価償却資産には該当しない。4,500万円を「電子計算機」の耐用年数(4年)で償却していく。
前述の記事では、PC500台とグラフィックボード1,000枚を購入したケースを一の取引とするとし、PC500台とグラフィックボード1,000枚の合計額が10万円未満でなければ、少額の減価償却資産には該当せず,電子計算機の耐用年数で償却をしなければならないとされていると紹介しました。
しかし、「原則、こうしたケースでは、PC1台とそれに組み合わせるグラフィックボード数枚に係る取引が1単位となり、その合計額が10万円未満であるかどうかを判定する」ことになると、税務通信の訂正記事が新たに掲載されました。
(例)
・グラフィックボード(全て同じ製品・性能のもので価格は1枚1.5万円)2枚を組み合わせたPC(全て同じ機種・性能のもので価格は1台6万円)を500台購入。
・1単位は9万円(1.5万円×2+6万円)となるため,少額の減価償却資産として,一時の損金とすることができる。
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