【法人税】企業誘致で土地を安くで取得。税務上の留意点はある? 税のお役立ち情報

 

製造業などの大型工場の企業誘致を自治体が誘致する場合、その自治体が土地等を時価に比して著しく低い価額で譲渡する場合がある(譲渡価格の低減)。

この場合、時価と取得価額の差額の補助金等が交付されたとみなされるため、取得価額を直接、帳簿価額とすると、国庫補助金等の圧縮記帳の適用を受けたものとして取り扱われるので、実務関係者はこの点についてぜひご留意していただきたい。

法人税法基本通達10―2―3(地方公共団体から土地等を時価に比して著しく低い価額で取得した場合の圧縮記帳)

法人が工場誘致等のために都道府県又は市町村から土地その他の固定資産をその時価に比して著しく低い価額で取得し,当該価額(その取得に要した費用があるときは,当該費用の額を加算した金額)を帳簿価額とした場合には,当該資産については法第42条⦅国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入⦆の規定により圧縮記帳をしたものとして取り扱う。

例えば、自治体から時価10億円の土地を4億円で取得した場合、差額である6億円の国庫補助金等の交付を受けたとみなされる。

帳簿価額を4億円とした場合、税務上は補助金等の交付を実際に受けた場合と同様に、まず時価10億円の土地を取得したとされ、次に圧縮損6億円で減額したものとして取り扱うこととなる。

そして、このような場合でも、「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書(別表十三(一))」を確定申告書に添付する必要があるかについて、『税務通信』で取扱いが紹介されていた。

結論は、自治体等から実際に補助金等の交付を受けて国庫補助金等の圧縮記帳を適用する場合と同様に添付が必要とのことだ。

また、同明細書には、国庫補助金等の“交付を受けた年月日”を記入する必要があるが、誘致等で時価より著しく低い価額の土地等を取得した場合は、補助金等交付の事実が存在しないことから、土地等の取得日を記入すれば大丈夫とのこと。

なお、同明細書を添付せずに確定申告書を提出した場合でも、直ちに添付漏れと判断されるわけではなく、やむを得ない事情があると認められれば、添付があったものと同様に取り扱われる。

法人税法第四十二条(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)

内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(第四十四条までにおいて「国庫補助金等」という。)の交付を受け、当該事業年度においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合(その国庫補助金等の返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合に限る。)において、その固定資産につき、その取得又は改良に充てた国庫補助金等の額に相当する金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

3 前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定に規定する減額し又は経理した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。

4 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。