コロナ禍における中小企業者等の事業再構築等を後押しするため、一定の要件を満たした場合に、中小企業基盤整備機構が対象経費の補助をする補助金として「事業再構築補助金」がある。
補助金については、「事業再構築補助金」に限らず、実はどの時点で収益として計上するか意外と悩むことが多い。
事業再構築補助金の収益計上時期についても、実務家の間で意見が割れていた。
ありがたいことに、本補助金に係る収益計上時期について税務通信で解説があったので、簡単に紹介する。
最大1億円が交付される同補助金の対象は、中小企業基本法で定める中小企業者等及び資本金の額等が10億円未満の中堅企業等となっている。
【参考1】の要件を満たした場合に、6つの事業類型に応じた補助金額及び補助率の範囲内で、事業用資産に係る対象経費が補助される。
ちなみに、事業予算に応じて今年度は5回程度の公募を予定している中、現在までに計2回の公募が終了し、計4万3,031件の応募があったという(うち採択件数は計1万7,352件)。
フローとしては、事業者はまず電子申請により事業計画書等を事務局に提出。同計画が採択された場合に同計画に基づく必要経費の交付申請を行い、交付決定後に設備等の購入等を行う。事業実施後は実績報告を行い、交付額の確定後に請求した補助金が支払われる、という流れになる。
この点、同補助金については、対象経費の補填という見方ができることから、一部の実務家の間では、コロナFAQ(5-問7 法人が交付を受ける助成金等の収益計上時期の取扱い)における“特定の経費を補填するもの”の考え方に基づき、交付額確定前である交付決定時の事業年度において収益を計上する必要があるのではないかという疑義が生じていたようだ。
【参考1】事業再構築補助金の要件
法人が国や地方公共団体から支給を受けた助成金等の収益計上時期は、「収入すべき権利が確定した事業年度」となり、具体的には、「支給決定時の属する事業年度」が原則となる。
同補助金の場合、経費補填という性質はあるものの、必要経費は交付決定時に入金されず、あくまでも補助事業実績報告書の設備投資等にかかった費用の証憑類の提出をもって事務局が支払の適切性等を確認し、補助金額が確定した後に精算される。
そのため、仮に、交付決定日と交付額確定日において期ズレが生じた場合には、同補助金に係る収益計上時期については、交付額確定時の事業年度に収益計上することとなる。