【インボイス制度】不備のあるインボイスを受領した時の対処法解説 税のお役立ち情報

 

インボイス制度における適格請求書発行事業者の登録申請の受付けが、いよいよ2021年10月1日からスタートする。

インボイス制度は、登録を受けた事業者のみが『インボイス』を発行でき、同インボイスを保存している場合に限り仕入税額控除が認められるなど、従来の仕入税額控除の方式とは大きく異なる仕組みだ。

同制度は2023年10月1日から導入され、同日以後に行われた課税資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用される。売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段として、売手側(適格請求書発行事業者)には「登録番号」「消費税額」等を記載した請求書等(インボイス)の発行が義務付けられる。

しかし、行政が制度設計した通りに上手くいかないのが、働く現場の実務である。

例えば、買手側が売り手側から「登録番号」の記載がないインボイスの交付を受けた場合、実務ではどのように対応することになるのか。

制度の原則からいうと、買手側が、取引相手が適格請求書発行事業者であることを確認したうえで、登録番号が記載されたインボイスの再交付を求めることになる。

適格請求書発行事業者には、交付したインボイスの記載事項に誤りがあった場合、交付した相手方に対して、修正したインボイスを交付する義務が課されているためだ(インボイスQ&A問29)。

しかもなんと、買手側が国税庁HPで売手の登録番号を確認し、その番号不記入のインボイスに自ら追記することは認められない

ただし別の対処策として、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した「仕入明細書」等を作成し、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けた上で、その「仕入明細書」等を保存することもできるとしている(インボイスQ&A問73)。

例えば、もし「登録番号」の記載がないインボイスを受け取った時、

①買手側が相手方に電話やメール等で登録番号を確認する。

②交付されたインボイスを参考として登録番号等を記載した『仕入明細書』等を作成する。

③作成した『仕入明細書』について相手方の確認を受ける。

という手続きを経れば、記載事項を満たすインボイスとして取り扱われるということだ。

しかし、取引相手とのパワー関係にもよるが、ここまでやらなくてはいけなのなら、新しく「登録番号」の記載のあるインボイスを再発行してもらった方が楽かとも思われる。