【リモートワークと税】在宅勤務者に残業食事代を支給すると、給与になる? 税のお役立ち情報

在宅勤務下の残業食事代も実費精算がおすすめ

残業等の際に支給される食事は現物給与として給与課税はされない。従業員が自分で食事を購入するなどして事後的に実費精算した場合の残業食事代についても同様に給与として課税されないという。

では、オフィス勤務ではなく、在宅勤務(リモートワーク)においての取扱いはどうなるのか?

以下で解説していく。

 

残業時の食事の現物支給は、そもそも給与として課税されない

所得税基本通達では、残業等をした者に支給する食事について、給与課税しなくて差し支えないとしている(所得税基本通達36-24)。

これは、残業等の時間外勤務をした場合に支給を受ける食事は、これらの勤務に伴う実費弁済的なものである点を考慮したものとのこと。

では、残業等の際に、会社が食事を現物で支給するのではなく、従業員が、一定の金額の範囲内で外食、若しくはコンビニなどで食事を購入し、その食事代を事後的に領収書・レシートにより実費精算した場合の取扱いはどうなるのだろうか?

実費精算の際に会社から支払われる金銭が給与課税の対象となるかが問題となるが、実態として、同通達における食事の支給と同視しうるものであれば、単に従業員が立替払いを行っただけであり、給与課税されることはないという。

なお、源泉所得税関係の個別通達「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」では、深夜労働者に対し、夜食の現物支給に代えて支給した金銭(1回の支給額が消費税抜きで300円以下)を非課税としている。こちらは、精算不要の“渡し切り”支給の場合の取扱いである。

 

結局、食事の取扱いはオフィス勤務でも在宅勤務でも変わらない

つまりは、実費精算した場合の残業食事代の取扱いは、オフィス勤務であっても、在宅勤務であっても変わらないということだ。

在宅勤務で残業した場合であっても、従業員が自分で食事を購入するなどし、食事代を請求書等により事後的に実費精算した場合に支払われる金銭は、 先述の通達により給与課税されないことになる。

ただし、同通達は、通常の勤務時間に勤務した者についての取扱いであり、前提として、在宅勤務下であっても適切な労務時間管理が行われており、通常の勤務時間と、残業等の勤務時間外の線引きが適正にできていることが必要となるのは留意が必要である。

「食事」に関する源泉所得税関係の取扱いを整理すると下記の図表のようになる。実費精算した場合の残業食事代以外の取扱いについても、オフィス勤務と在宅勤務で取扱いは変わらないという前提で使っていただきたい。