【節税保険封じ】国税庁、低解約返戻金型保険の税の取扱い変更を検討 税のお役立ち情報

保険契約の仕組みに基づき、契約者等を法人から従業員に変更することなどで、所得税の負担軽減を図るスキームが横行している。

「税務通信」取材によれば、保険契約から一定期間は解約返戻金額が低く設定される“低解約返戻金型生命保険”等の所得税の取扱いの変更を国税庁が検討しているようなので、一部記事を抜粋・加筆して紹介する。

 

そもそも、この保険はどのような節税スキームなのか?

低解約返戻金型生命保険(例えば、契約後10年間の解約返戻金額を大幅に少なくし、その後に引き上げるような契約)を、節税目的商品として保険会社がセールスをかけているケースは実務にでよくお会いする。

(往々にして、保険会社が節税目的として持ってくる商品はろくなものが無い。)

節税スキームとしては、こうだ。

①契約者や保険料支払者等を法人にし、被保険者を従業員や役員として同保険契約を締結する

②解約返戻金額が低額な10年目に契約者等を法人から従業員等に変更し、保険契約の権利を従業員等に移す

③その翌年、解約返戻金額が引き上げられる際に、従業員等が保険契約を解約し解約返戻金を受け取る

前述の②契約変更時の保険契約の権利の移管は、雇用関係に基づく経済的利益の供与として、その変更時の低額な解約返戻金額が「給与所得」として課税の対象となる。

③契約変更の翌年に従業員等が受け取る解約返戻金は、「一時所得」として課税されるため、いわゆる“2分の1課税”が適用される。

 

「節税スキーム封じ策」とされる税の改正点は?

今回、見直しが検討されているのは、②契約変更時の給与課税すべき経済的利益の金額だ。

具体的には、解約返戻金が法人の資産計上している保険料の7割未満の場合は、「資産計上額」で評価するように見直す方向で検討がされている、とのことだ。

これにより、②の「契約変更時の給与課税の対象額」が大幅に増加することになって、同保険契約の仕組みを利用した名義変更スキームの税務メリットはこれまでよりも大きく低減するといえる。また、過去に締結した保険契約も見直しの対象になるかもしれない。

保険会社が節税目的として持ってくる商品はろくなものが無い。

本件見直しがされる際には、パブリックコメントが行われることになることが予想される。2021年6月末の改正を目指すとのこと。