クラウド導入!設定費用など初期費用の税務上の処理は?(資産?費用?) 税のお役立ち情報

 

クラウドサービスを導入する際、初期費用が利用料に組み込まれたかたちで請求されるケースもあります。

こうした場合、「初期費用」と「利用料」が明確に区分できるときは初期費用を繰延資産として処理することになりますが、金額の内訳について請求書等から区分できないような場合には、全体を利用料として支出時に損金算入することが認められるようですので、今回はそのことに紹介します。

 

【原則】クラウド導入費は一般的に繰延資産

クラウドサービスの利用形態や契約形態は様々であるため、導入費用等に係る税務上の取扱いを検討する際は中身を詳細に確認する必要がありますが、ソフトウエアの所有権がベンダー側にあるクラウドサービスを導入するための初期費用(設定費用等)は、一般的に、支出の効果が将来にわたって及ぶものであるといえるため「繰延資産」として支出の効果の及ぶ期間で償却していきます。クラウドサービスの初期費用の金額について、契約書や請求書等で明記されている場合はその金額に基づいて処理をすることになりますが、ケースによっては、初期費用に関する記載がなく契約期間中における利用料のみ記載されていることもあるようです。

こうした場合、ベンダー側から利用料の内訳を記した書類等の提示を受け、初期費用相当額と利用料が明確に区分できるときは、初期費用相当額を繰延資産として処理することになります。

 

【容認】金額が区分できないときは利用料として処理も

他方で、ベンダーによっては金額の内訳を記した書類等を提示しないこともあるようです。

このように契約書や請求書等から初期費用相当額と利用料が明確に区分できないような場合、利用料にサーバーへの設定等に係るコスト相当額が含まれた料金設定となっているといえます。そのため、支払うべき債務が確定しているのであれば、初期費用相当額と利用料を按分せず、全額を利用料として損金算入することが認められるようです。

ただ、税務リスクを避けるためにも、こうした処理を行う場合にはベンダー側から書類等の提示が受けられなかったことなどについて記録を残しておくなど、客観的に説明できる資料を揃えておくことをお勧めします。