法人を設立するためには、
という手順になります。
そして、会社法上は、設立登記によって初めて法人が設立されたことになり、法人税法上も、設立登記前においては、法人は存在しないという考え方がとられています。
しかし、設立期間中といっても、その設立中の法人が事実としてその法人名で商取引を行うということもあり得ますし、また種々の経費の支出が行われるということもよくあることです。
そこで、この法人の設立期間中に生じた収益や経費について、どのように取り扱えばいいのかという疑問が、会社設立検討中の方や、新規に会社を設立した方はお持ちになるのではないでしょうか?
この点について、税務通達において以下のように定めています。
(法人の設立期間中の損益の帰属) 基通2―6―2 法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は,当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。ただし,設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益又は当該法人が個人事業を引継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については,この限りでない。 (注)1 本文の取扱いによつて申告する場合であつても,当該法人の設立後最初の事業年度の開始の日は1―2―1によるのであるから留意する。 2 現物出資により設立した法人の当該現物出資の日から当該法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益は,当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することとなる。 |
つまり、本通達で法人の設立期間中(つまり設立当期前)に生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得計算に含めて申告することができることを明らかにしています。
なお、会社設立前の費用のうち、発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために要する費用で法人の負担に帰すべきものは繰延資産(創立費)に該当し、設立事業年度以降償却費として損金の額に算入されるという点には留意が必要です。
なお、上記ただし書き箇所等も絡んで、以下の点で注意が必要になります。
設立期間が長期にわたる理由には種々のものがあると思われますが、いずれにしても設立期間が長期にわたる場合に、その設立期間中の損益を設立第1期の所得計算に含めれば足りるとして、漫然と設立第1期の申告までその課税関係を放置しておくというわけにはいかない、と考えられています。
この場合には、設立期間中に生じた損益は新設法人とは別主体(人格のない社団等)として法人税の申告が必要となります。
実務上は個人事業からの法人成りにより法人を設立するケースが多いですが、いわゆる法人成りの場合には、会社設立前から同種の事業が継続しているため、会社設立前の損益はすべて個人事業の損益に取り込むこととなります。
事業内容は継続していても、収入及び費用の帰属は個人事業と法人との間で明確に区分する必要があります。
本通達の取扱いを受ける場合においても、法人の設立事業年度開始の日は設立登記の日であることに変わりはないため、設立第1期目の事業年度は設立登記の日から事業年度の末日までとなります。
したがって、法人税の計算において月数按分を要する規定や減価償却資産の償却計算等に注意を要します。特に減価償却資産等に関しては、事業供用日が設立登記前であっても、償却開始は設立登記日からとなることに留意する必要かあります。
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