平成30年1月1日以後に開始した相続、贈与等により取得した「土地」については、『地籍規模の大きな宅地の評価』を使用することで土地の評価額を大きく減らすことができる可能性があります。
そこで今回は、『地籍規模の大きな宅地の評価』について、解説していきます。
地積規模の大きな宅地とは、下記に掲げる①から③までの要件のすべてを充足している宅地をいいます。
(イ)市街化調整区域に所在する宅地
ただし、これに該当しても当該市街化調整区域が都市計画法第34条(開発許可の基準) 第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条(定義)第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除きます。
(ロ)都市計画法第8条(地域地区)第1項第1号(注4 )に規定する工業専用地域に所在する宅地
(ハ)容積率(建築基準法第52条(容積率)第1項に規定する建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいいます。)が10分の40以上の地域に所在する宅地。ただし、東京都の特別区(地方自治法第281条(特別区)第1項に規定する特別区をいいます。)においては、10分の30以上の地域に所在する宅地
(注1 )「三大都市圏」とは、次の地域をいいます。
(A)首都圏整備法第2条(定義)第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
(B)近畿圏整備法第2条(定義)第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
(C)中部圏開発整備法第2条(定義)第3項に規定する都市整備区域
上記に掲げる要件を充足する地積規模の大きな宅地の価額は、財産評価基本通達15 (奥行価格補正)から同通達20 (不整形地の評価)までの定めにより計算した価額に、その宅地の地積の規模に応じて、次の(算式1 )により求めた規模格差補正率を乗じて計算した価額によって評価します。この取扱いを算式に示すと下記(算式2 )のとおりになります。
(算式1)規模格差補正率
規模格差補正率=(A x B+ C)÷A✖0.8(小数点以下第2位未満切捨て)
Aは、地積規模の大きな宅地の地積
BとCは下表のとおり
地積 | 普通商業・併用住宅 地区、普通住宅地区 | |
---|---|---|
B | C | |
500㎡以上1,000㎡未満 | 0.95 | 25 |
1,000㎡以上3,000㎡未満 | 0.90 | 75 |
3,000㎡以上5,000㎡未満 | 0.85 | 225 |
5,000㎡以上 | 0.80 | 475 |
地積 | 普通商業・併用住宅 地区、普通住宅地区 | |
---|---|---|
B | C | |
1,000㎡以上3,000㎡未満 | 0.90 | 100 |
3,000㎡以上5,000㎡未満 | 0.85 | 250 |
5,000㎡以上 | 0.80 | 500 |
財産評価基本通達20ー2 (地積規模の大きな宅地の評価)をはじめとする各財産評価基本通達の定め、及び、平成29年10月3日付けで国税庁から公開された『財産評価基本通達の一部改正について』通達等のあらましについて(情報)(資産評価企画官情報第5号) (以下、『情報』といいます。)の定めでは、地積規模の大きな宅地の評価に当たって、次に掲げる財産評価基本通達の各定めとの重複適用が必要とされる旨が示されています。
①財産評価基本通達15 (奥行価格補正)
②財産評価基本通達16 (側方路線影響加算)
③ 財産評価基本通達17 (二方路線影響加算)
④ 財産評価基本通達18 (三方又は四方路線影響加算)
⑤ 財産評価基本通達20(不整形地の評価)
⑥ 財産評価基本通達20ー3 (無道路地の評価)
⑦ 財産評価基本通達20ー4 (間口が狭小な宅地等の評価)
⑧ 財産評価基本通達20ー5 (がけ地等を有する宅地の評価)
⑨ 財産評価基本通達20ー7(容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価)
⑩ 財産評価基本通達24ー6 (セットバックを必要とする宅地の評価)
倍率地域に所在する宅地(大規模工場用地に該当するものを除きます。)についても、一定の要件を充足する場合には、財産評価基本通達20一2 (地積規模の大きな宅地の評価)の定めに準じて、『規模格差補正率』を適用して評価するものとされています。
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