最近、学校法人会計における2号基本金について、お問い合わせいただくことの多くなってきました。
せっかく2号基本金についての考え方をとりまとめましたので、それについて徹底解説していこうと思います。
『基準』は、「学校法人が新たな学校の設置又は既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額」に相当する金額を基本金に組み入れるものとしており、この規定によって組み入れる基本金が第2号基本金です。
すなわち、将来取得する予定の固定資産の取得原始とするために、先行的、計画的に組み入れる基本金であり、計画対象とした固定資産の取得時には第1号基本金に振り替えられるものです。
第2号基本金は、将来、固定資産を取得することを目的とした金銭その他の資産の額ですから、この金銭等が一般の資金と区別されていることが必要です。
それらの資産は、「第2号基本金引当特定資産」として、貸借対照表の特定資産の部に計上されます。
「会計基準」は「前項第2号又は第3号に規定する基本金への組入れは、固定資産の取得又は基本金の設定に係る基本金組入計画に従い行うものとする」と定めています。
正規の決議機関としては、通常理事会がありますが、評議員会が決議機関となっているときは、理事会決議とともに評議員会の決議も必要です。
将来取得する固定資産を具体的に、○○校舎改築とか××校舎新設のように明確にし、「施設拡充」というような漠然としたものではいけません。
固定資産の取得予定年度も明らかにします。
固定資産の取得予定額と積立は一致するとは限りません。資産の取得時に一部借入金を予定することもあるからです。
また毎年の積立額は計画でなければなりません。事業活動収支差額の何%を積立てるなどの計画は、積立額が予測できないので認められず、毎年積立額を一定の法則により増していく逓増方式、逆に積立額を減らしていく逓減方式はよいとされています。
固定資産を取得して第1号基本金を組み入れる場合、固定資産の取得価額と組入額は必ずしも一致しません。その固定資産の取得が取替更新による場合には、旧固定資産の取得価額相当の既組入額を新しい固定資産の取得価額から差し引いて組入れをするからです。
第2号基本金の組入計画では、固定資産を取得して新たに基本金を組入れする予定額を「所要見込総額」といいます。
毎年の組入計画は、資金の積立計画と同じにします。
2号基本金の組入れを行っているときは、「第2号基本金の組入れに係る計画表」(個別計画表)を作成しなければなりません。この表は、当該固定資産を取得するまで毎年作成し、独立した事業計画ごとに作成します。
また、第2号基本金の組入計画が複数ある場合には、個別の計画表に加えて「第2号基本金の組入れに係る計画集計表」(計画集計表)を作成しなければなりません。
なお、この組入れに係る計画表は、目的とする固定資産を取得し第2号基本金を第1号基本金に全て振替えをした年度まで継続して作成し、計算書類の基本金明細表の次に計画集計表、個別計画表の順に綴り込みます。
(注)決定機関の評議員会とは、評議員会が決定機関の場合のみ記載します。
第2号基本金の組入計画がある場合には、引当特定資産への資金の積立額と同額を第2号基本金に組入れをします。
また、当該特定資産に係る代金が支払われたときには、第2号基本金の対象となっている引当特定資産から支払われ、組入済みの第2号基本金は、第1号基本金に振り替えられます。
✔平成28年度5万円の引当特定預金への繰入れをし, 同額の基本金組入れをした。
【資金収支計算】
(借) 第2号基本金引当特定資産繰入支出 50 , 000 (貸)現金預金 50 , 000
【事業活動収支計算】
(借) 基本金繰入額 50 , 000 (貸)第2号基本金 50 , 000
✔以下平成37年度まで、引当特定預金への繰入額を同様に処理します。ただし、平成34年度からの繰入額は10万円とします。
平成38年度に体育館が完成し130万円支払った。
【資金収支計算】
(借)現金預金 700 , 000 (貸)第2号基本金引当特定資産取崩収入 700 , 000
(借)建物支出 1 , 300 000 (貸)現金預金 1 , 300 000
【事業活動収支計算】
(借)第2号基本金 700 , 000 (貸)第1号基本金 700 , 000
固定資産の取得計画に基づき、特定資産の積立てと第2号基本金の組入れを行う場合には、具体的でかつ確実な計画に基づいて慎重に実施されるべきであり、安易な計画によって実施することは慎まなければなりません。
しかし、校舎の増築を計画していたが少子化により計画を見直し、現有資産の改築によることになったような場合には、当該特定資産並びに第2号基本金はその意義を失うことになり、基本金の取崩対象額か把握されることになります。
この年度の第2号基本金の組入対象額が上記取崩対象額より少なければ、第 2号基本金が取り崩されることになります。
なお、「第2号基本金の組入れに係る計画表」においては、計画を変更した旨の記載を行い、「基本金組入計画及びその実行状況」の「摘要欄」には、基本金を取崩対象としたことを記載することになります。
今回の記事を書くにあたり、以下の書籍を参考にしております。私の解説では物足りないと感じる方も多いと思いますので、是非こちらも一読していただければと思います。
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