税務・会計トピックス

【税務調査対策】「多忙による失念」は意図的な過少申告として重加算税の対象となるか?

 

経営者の方々の多くは、日々の業務で多忙極まりないことが多々あります。

その中で、事務処理をうっかり誤ってしまし、税務確定申告の金額を誤ってしまったこともあるかとは思います。

 

このようなうっかりミスについて、税務調査官が事実の隠ぺい又は仮装があったとして、大きなペナルティ措置である重加算税をかけてくる事例も拝見します。これに対し、国税不服審判所が税務調査官の主張をひっくり返した裁決例がありますので、紹介します。

 

事案の概要

・請求人は、E医院において、内科医として勤務する他、複数の企業等に産業医として勤務。さらにD事務所の屋号で複数の企業等と契約して業務を行うなど、多忙な日々を過ごしていた。

 

・請求人は、給与等や報酬等を受領していたが、その多くについては、勤務先又は契約相手方企業が源泉徴収を行い、請求人に源泉徴収票又は支払調書を交付していた。

 

・請求人は、平成19年分以後の所得税について青色の確定申告書を提出していたが、産業医の業務の売上等の集計をせず、必要経費について集計表等を作成する程度であった。

 

・請求人は、所得税又は所得税等及び消費税等の確定申告書の作成をH税理士に依頼していた。H税理士は、本件平成24年分諸税の確定申告までは、請求人から、収入金額に係る資料としては数十口の源泉徴収票及び支払調書のみ提示を受け、これらを基に売上集計を行って請求人の確定申告書を作成していたが、その際作成した売上げの一覧表を請求人に交付することはなかった。

 

請求人は、平成22年6月24日、本件預金口座を開設し、F会に対して同年8月支払分以後の本件収入を本件預金口座に振り込むよう依頼した。F会は、本件収入について源泉徴収を行っておらず、請求人に対して、本件収入に係る支払調書を発行していなかった。なお、本件預金口座には、平成22年6月24日の開設以降、平成26年12月31日までの間、本件収入と普通預金利息の入金がされているだけであり、それ以外の入出金は全くなかった。

 

・その後、税務調査が行われ、請求人は担当職員からF会からの収入が申告漏れになっている説明を受け、修正申告を提出したが、原処分庁が、当該収入の申告漏れは課税要件事実を隠ぺいし又は仮装したところに基づくものであるなどとして重加算税の賦課決定処分等の原処分を行ったため、その取り消しを求めて争いとなった。

 

原処分庁の主張

『①特定の取引先(本件取引先)からの報酬等(本件収入)が請求人の事務所名義の預金口座(本件預金口座)に入金されていたと認識していたにもかかわらず、関与税理士に対し、本件預金口座に係る通帳(本件通帳)を提示しておらず、』

 

『②調査担当職員から本件収入の申告漏れを指摘されるまで、調査担当職員に対して本件通帳を提示しなかったことからすると、請求人は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められるから、』

 

重加算税の賦課要件を満たす旨を主張しました。

 

審判所の判断

『請求人は、産業医や内科医として平素より極めて多忙であったこと、毎年多数の源泉徴収票や支払調書を受け取っていたことからすると、請求人が、それらの源泉徴収票や支払調書の内容を確認しておらず、それらの中に本件収入に係る源泉徴収票がないことに気付かなかったとしても不自然ではない。』

 

『請求人は、売上げの集計を自ら行わず、確定申告書の作成を税理士に任せきりにするなど、会計及び税務に係る事務に精通しているとはいえない上、産業医としての勤務による給与等や契約による報酬等の多くについて源泉徴収が行われていたこ、本件調査において調査担当職員に本件収入の申告漏れを指摘された時から一貫して、本件収入について源泉徴収を行っていると思っていた旨申述及び答述していることからすると、請求人が、F会が本件収入について源泉徴収を行っていると誤解していた可能性も否定できない。』

 

と指摘。

そして、

 

『①本件取引先が源泉徴収を行った後、本件収入は本件預金口座以外の預金口座に振り込まれているとの誤解の下、関与税理士に対し、手持ちの源泉徴収票及び支払調書に加えて本件通帳以外の通帳を提示することにより、本件収入についても適正に申告していると誤解していたものと考える余地があり、また、

 

調査担当職員に対して本件預金口座の存在を殊更隠ぺいしようとしたとは考え難く、本件通帳以外の通帳を提示すれば問題ないと考えて本件通帳を提示しなかったものとみる余地があるから、原処分庁が主張する事情は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠もないから重加算税の賦課要件を満たさない。』

 

と判断しました。

 

【お約束事項】

本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。

当サイトのコンテンツの正確性の確保に努めてはおりますが、提供している情報に関して、いかなる保証もするものではありません。

当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。 


「地域の経営者に、事業に専念できる、環境を」

肥田木公認会計士・税理士事務所は、都城・宮崎地域の会計業界の中で「問題解決力」No.1の事務所を目指し、経営者様のお悩み解決に日々努めております。

税や会計のお悩みがありましたら、無料相談からお気軽にご相談ください。

問い合わせはこちら|☎0986-25-3543

または、問合せページ|http://www.hidaki-kaikei.com/contact