税務・会計トピックス

【税務調査対策】仮想通貨の評価損を、なんとか損金算入できる余地がないかについて

昨年末からの仮想通貨の価格の乱高下を受け、3月決算法人のなかには期末時点で保有している仮想通貨の評価損を、なんとか損金算入できる余地がないか悩まれている法人様もいると思います。

そこで、仮想通貨の評価損の損金算入の余地について検討していきます。

 

まず最初に結論

税務上は、物損等の事実法的整理の事実など特別な事情がある場合に限り、評価損について損金算入を認めていますが、仮想通貨の価格の著しい下落は物損等の事実には当たらないとのことです。

したがって、会計上で評価損を計上した場合であっても、税務上は法的整理等の事実でもない限りは損金算入できないようです。

 

企業会計基準上の取扱い(条文より抜粋)

企業会計基準委員会(ASBJ)が3月14日に公表した実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」では,仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者が保有する仮想通貨の期末処理について,“活発な市場”が存在するか否かに応じ,以下の処理を行うとしている。

 

活発な市場が存在する仮想通貨は,市場価格に基づく価額をもって当該仮想通貨の貸借対照表価額とし,帳簿価額との差額は当期の損益として処理する(第5項)。

活発な市場が存在しない仮想通貨は,取得原価をもって貸借対照表価額とし,期末における処分見込価額が取得原価を下回る場合には,当該処分見込価額をもって貸借対照表価額とし,取得原価と当該処分見込価額との差額は当期の損失として処理する(第6項)。

 

活発な市場が存在する場合とは,「継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合」をいう(第8項)。

 

税務上の取扱い

税務上は、法人が有する「資産」の評価換えをして帳簿価額を増額又は減額した場合、増額又は減額した部分の金額(評価損益)は、原則として益金の額又は損金の額に算入されません。

 

しかし、以下の一定の事由に該当する場合には益金算入又は損金算入が認められます。

■評価益の益金算入が認められるケース

・更生計画認可の決定があった場合 等

■ 評価損の損金算入が認められるケース

・物損等の事実が生じた場合

・法的整理の事実や更生計画認可の決定など一定の事実が生じた場合 等

 

会計上、仮想通貨は「資産として取り扱い得る」としています(第27項)。

そのため,法人が有する仮想通貨について,法的整理や更生計画認可の決定等に基づき評価換えが行われた場合には、評価損益は、所得の金額の計算上益金の額又は損金の額として受け入れられると思われます。

 

法人が保有する仮想通貨はその性質等から「棚卸資産」に該当することもありえます。

 

このことから、法人税法施行令第68条 第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「棚卸資産に生じた一定の事実」への該当性を検討すると、仮想通貨は“データ”でしかないため、「イ 災害による著しい損傷」「ロ 著しい陳腐化」「ハ イ又はロに準ずる特別の事実」のいずれにも該当しないことになります。

 

また、同項に規定する有価証券・固定資産・繰延資産にも該当しないと考えられるため、仮想通貨の価格の著しい下落は物損等の事実に当たる余地はないといえそうです。

 

法的整理などの特別な事情がある場合を除き、仮想通貨の保有の段階では評価損益を認識せず、譲渡時に認識するしかなさそうです。

 

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